ウルトラソニックモノクロスケール

シャツと靴は脱いで闘う。

ポプマスで池袋晶葉ちゃんに興味を持ったあなた、「マシーナリーとも子」をフォローしてはどうか

プロデューサーの皆様お疲れ様です。ポプマス、やってますか?

 

池袋晶葉ちゃんは可愛い

さて、池袋晶葉ちゃん。可愛いですよね。めちゃくちゃ可愛いですよね。それはもう信じられないぐらい。

poplinks.idolmaster-official.jp

idollist.idolmaster-official.jp

 

ポプマスの醍醐味の一つは、越境コンテンツゆえの受動喫煙による発見。「へぇ、こんなアイドルもいるんだ」「あ、見た目好きかも」「○○が趣味か……担当と仲良くなりそうだな」そう思ったときにはもう遅い。すでに片足が膝まで沼に刺さっているわけで、周りには先駆者がニタニタと笑みを浮かべながら沼に沈むあなたをジッと見つめている……これはSNS名物の一つ、「沈むオタクの鑑賞会」です。

 

さてこの記事は、すでにポプマスで「この池袋晶葉ちゃんって子、良さそうだな」と沼に片足ハマった人に向けて書いている。なので敢えてこの記事では池袋晶葉ちゃんの具体的に魅力を詳細に述べるつもりはありません。池袋晶葉ちゃんがどれだけ魅力的なのかは、自分の目で確かめてくれ!

この記事の目的は何かというと、少しでも池袋晶葉ちゃんのディグをしやすい環境に身を置いてもらうことである。すでに片足突っ込んだあなたが、完全に沈み切るまでの時間をできるだけ短くしたい。自主的かつ効率よく沼に沈んでもらうための提案であり、勢いよく沼りたい人へのアドバイスともいえる。

 

して、そのアドバイスとは具体的に何か。

「マシーナリーとも子をフォローしろ」、である。

 

 

 

沼の奥底に、マシーナリーとも子はいる。

マシーナリーとも子は池袋晶葉を推しているVtuberである。

最初に強調しておくが「マシーナリーとも子というVtuberが居て、彼女がたまたまデレステで池袋晶葉を推している」という図ではない。「池袋晶葉を布教するためにVtuberになった」のがマシーナリーとも子というVtuberなのだ。マシーナリーとも子というVtuberにとって、池袋晶葉は配信コンテンツの一つではなく存在理由である。目的としてのVtuberではなく手段としてのVtuber。そんなのあるんだ。

youtu.be

「推しを布教するために受肉する」っていう異常行動から推し量れるように、彼女は行動力の化身である。48時間で受肉したり、その経緯を出版したり、LINEスタンプ作ったり、3Dプリンタで部品作ったり……特に、課金額を増やすために辞職して専業になっているくだりを見たときは完全にネジが外れていると思った(サイボーグだけに)。

 

先述の「沈むオタクの鑑賞会」に限らず、インターネットのお祭りの面白さは、中心にいるオタクが持つ狂気の振れ幅・オタクとしての強度に比例しているわけですが、マシーナリーとも子はそういうお祭りの中心人物たりえる狂気と強度を持つオタクなのだ。度を越した狂気は他人に伝染する……あなたもきっと「全然知らないジャンルなのに、なんか面白そうでつい流れを追い、ハマってしまった」という経験があるだろう。無いとは言わせないぞ。

実際、筆者が池袋晶葉Pになったのはそういう経緯だった。Twitter上でなんか面白そうな流れを発見し「この人よく見るなぁ」と思ってフォローしたら、それがマシーナリーとも子という池袋晶葉Pだったのだ。まんまとやられたぜ……。

 

そんなわけで、ポプマスで池袋晶葉ちゃんに興味を持ち始めた人のために「池袋晶葉ちゃんをより深く知る手段としてマシーナリーとも子」を紹介しようと思います。ゆくゆくはしっかり池袋晶葉ちゃんにハマってくれ。

  

 

オススメポイント①:池袋晶葉コンテンツのRTが高速

あらゆるジャンルにおいて「この人をフォローしておけば界隈の情報を大体抑えられる」みたいな人物って居ると思うんですが、マシーナリーとも子もそれである。インターネット上に点在している池袋晶葉ちゃんイラストにアンテナを張り巡らしており、だいたいすぐにRTする。

そういうディグのテクニックを紹介した動画なんかも出しており、非常に良心的である。単に池袋晶葉沼にハメようとしてるだけじゃなく、自力で池袋晶葉ちゃんを深くディグれる強いオタクを養成しようとしている。オタクの予備校?

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ちなみにとも子自身はファンアートに限らず、「池袋晶葉ちゃんっぽい概念」にも触手を伸ばしており、可愛いロボの動画とかが出ると言及する。文中に「池袋晶葉」とかかすりもしてないんだけど、あれに関してはどうやってるのかわからん。たぶんシンギュラリティサーチだと思う。

 

 

オススメポイント②:とも子自身による二次創作・ファンアートも良さの塊

マシーナリーとも子は自分自身も二次創作を行う。今をときめくインターネット美少女ハンバーガーちゃんさんとの同人ユニット「ハンバーザム」は、アイマスの二次創作メインに活動している。これがまた本当に良いんだ。

www.melonbooks.co.jp

原作での世界観・アイドルの関係性をめちゃくちゃ大事にした上で、そこに池袋晶葉ちゃんのいわゆる便利キャラ的な要素を小気味よく盛り込んだifの物語が舞台なんだけど、どのお話も描きたい魅力がはっきり伝わる構成になっていて地力の高さを感じちゃうわね……マシーナリーとも子による高解像度の脚本とハンバーガーちゃんさんのめちゃ可愛イラストによって池袋晶葉ちゃんの魅力が漫画になってるわけで、ネウロと弥子さながらの心身の波状攻撃には、池袋晶葉P以外だってノックアウトだろう。

とも子個人のファンアートも相当良い。たまに性欲を抑えられていない感じも含めて良く、「池袋晶葉ちゃんこういうことしてほしい」「池袋晶葉ちゃんにこういうシチュエーションが合いそうだよな」っていう欲望がまずあって、そこに素直に向かってる感じがあり、これで正しい、二次創作ってのはこうじゃなきゃいけない。

 

 

オススメポイント③:「声の無いアイドルを推してきた先輩P」として

ちょっとシビアな話だが、一番重要な要素だと思われる。

ポプマスから興味を持ってくれたP達がけっこう驚いてる様子だったのが印象的ですが、こんなに可愛くて二次創作もいっぱいで、ポプマスの初期実装に抜擢されるほど人気な池袋晶葉ちゃんですが……2021年現在、まだボイスが付いてない。

 

人気アイドルから声優が付いていくのは、シンデレラガールズの仕様である。シンデレラガールズに登場する全190アイドル のうち、ボイス未実装のアイドルは99人。声を付けるための明確なチャンスは、基本的に年に一回の総選挙・ボイスオーディションのみだ。例年総選挙は4月開催、今年ももうすぐですね。

担当が総選挙で上位を目指すべく応援するわけだが、課金もする。ファンアートも描く。投票先を迷っているPが居ればプレゼンや交渉もする。なんせ年に一回しかないチャンスだ、その勢いは本物の選挙さながらで、必死そのものである。

大好きなアイドルはどんな声なのか。あのセリフをどんな風に喋るんだろうか。他のアイドルと会話するときは、どんな声色になるんだろう。持ち曲はどんな曲だろう、どんな踊りをするんだろう。

 

他のアイドルが当たり前にそうしてるように、ただ声が聞きたいだけ。

ただそれだけ、それだけなのに。

 

シンデレラガールズがスタートしてから10年……10年てあんた。ストレートに進んだら小学校6年生が大学を卒業してしまう期間である。そんな長い間、自分の応援するアイドルには声が無く、他のアイドルには声があるという状況……いくら仕様で仕方ないこととはいえ、総選挙で結果が出なかったとき、暗い感情が湧いてしまうことは仕方ないことだと思う。”折れて”しまったPや、闇を抱えてしまったPが多数存在していることは、想像に難くない。

 

マシーナリーとも子自身も、折れかけた時期があったらしい。そして、マシーナリーとも子がYouTubeで語る物語群は、こういうPの葛藤を昇華していく過程を描く物語なのだ。

結局、VTuberとしての活動で一番伝えたいのは「池袋晶葉ちゃんに投票しよう」ということなんだけど、その次に言いたいのは「総選挙で死なないようにしてくれ」ってことなのよ。楽しくゲームで遊びたかったはずのに、ゲームに縛られて苦しまないでほしい。

そしてVTuberマシーナリーとも子は星野源を目指す 選挙疲れで毎週死にかけていた、あるアイマスPがVTuberになって救われた話 - ねとらぼ

僕がデレマスを始めてから闇に飲まれずゆるゆる楽しく続けられているのは、マシーナリーとも子がボイス無しアイドルPとしての葛藤を赤裸々に語ってくれていて、それを乗り越える様子をありありと見せてくれたからだ。総選挙でランクインできずに落ち込んだとき、隣のアイドルに先に声が付いたとき、布教したら他のアイドルの推しになったとき……推してると遭遇する様々なシチュエーションが物語になっており、自然とPとしての心構えが醸成されていく。尊敬できる先輩上司の苦労話をじっくり聞いているような感じなんですよね。

 

もちろん、心構えができたからと言ってすぐ成果が出るわけじゃないし、凹まなくなるわけでもない。事実、マシーナリーとも子だって前回の総選挙のとき結構凹んでるし、順位見れないことで運営に小言言ったりしてる。

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凹むときはしっかり凹む。そして立ち直ったら粛々とできることを続けて、その続ける過程すらも楽しむことが重要……なんかこう改めて言葉にすると「それはそう」っていうか、論語方丈記あたりにも書いてありそうな人生訓っぽいけど、殺人サイボーグによるソシャゲの心構えである。

でも、本当にその通りだと思うんですよね。池袋晶葉ちゃんだってこう言っている。

強がって、笑うさ。天才だからな

 かっけぇ~~~最高~~~~~!!!!!

 

 

のらりくらりと池袋晶葉ちゃんを愛でていきましょう

ポプマスは非常に良い。オモコロ恐山氏も動画で述べていたが、ポプマスはアイマスにおける”顕”の王道になりえるコンテンツである。ポプマスから池袋晶葉ちゃんに興味を持ち始める人はいっぱい居るし、人によってはすでに沼の奥深くにはまってしまった人もいるだろう。

マシーナリーとも子は、これから池袋晶葉ちゃんを知る人にも、ちょっと興味がある人にも、もうすでにかなり好きな人にも、そしてあまりにも好きで折れてしまいそうな人にも、おすすめできるVtuberだと思う。殺人サイボーグだが、実は寛容なコンテンツなのだ。

池袋晶葉ちゃんにボイスはまだ無い。これから付けるところだ。

どうかその過程をのらりくらりと楽しために、あなたのプロデューサー生活にマシーナリーとも子を添えてみてはどうだろうか。

 

 

■ マシーナリーとも子

Twitterhttps://twitter.com/barzam154__

YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UC6EAioKr8JTYVXk54i7-J5w

ポータル:https://www.machinery-tomoko.com/

 

 

おまけ:ポプマスで池袋晶葉を知った人におすすめのマシーナリーとも子コンテンツ

 

マシーナリードール実装記念記事

nlab.itmedia.co.jp

池袋晶葉ちゃんの新規絵「マシーナリードール」実装を口火に、池袋晶葉ちゃんの可愛さからモバマスの魅力から何から何まで語りつくす全力投球記事。長いけど、これを読んでもらえればきっと池袋晶葉Pたちの境遇だとか、マシーナリーとも子のスタンスだとかがスルっと入ってくると思う。

個人的にはイベント開始から記事公開まで二日も経ってない状態でこの練度の文章出してるって事実がヤバいと思っており、とも子氏の池袋晶葉ちゃんへの情熱とライターとしての実力の高さ、そしてねとらぼのフットワークの軽さが伺える。すごい。

 

 

本編動画:池袋晶葉ちゃんを愛でつつ他の担当Pへのスタンスがわかる動画

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前半はジャストディフェンス澤村がMV実況し池袋晶葉ちゃんの可愛さを伝え、後半はアークドライブ田辺を中心にして他の担当を持つPとの付き合い方に関する話が繰り広げられる。

今回深入りしなかったが、実は「マシーナリーとも子」は一人のVtuberの名前を指す言葉であると同時に、マシーナリーとも子を中心とした複数のサイボーグや人類たちから成る物語のタイトルでもあるのだ。『スペース・コブラ』の主人公が「コブラ」であるのと同じ構造で、主人公の他にも魅力的な登場人物がいっぱい出てくる。池袋晶葉ちゃんをマクガフィンにしたサイボーグ百合活劇SF(本当に?)なわけだが、これがまた単体で面白いのでオススメです。田辺好き。

 

 

本編動画:ボイスなしアイドル担当Pとしての葛藤

youtu.be

正直に言うと、はじめて見たときはピンとこなかった。しかし、はじめての総選挙を終え、TLに流れてくる晶葉Pたちの様子・その他のボイス無しアイドルPの様子を見た後……涙なくして視聴することはできなかった。ここまで赤裸々に声無しアイドルを担当することの虚無感や悲哀、あるいは怒りがありありと伝わる回はあるだろうか。

長々説明するのは野暮、とにかく見てくれ。

 

 

番外編:マシーナリーとも子本編 第100回

www.youtube.com

インターネットに浸かり気味な人であれば、マシーナリーとも子のTwitter IDが「@barzam154_」であることが気になるだろう。バーザムってなんだ?

気になった人は調べると良い。マシーナリーとも子は、あなたをただ受信するだけのオタクにしていないはずだ。調べた後にこの動画を見るといい。

タイトルだけで元気になれる記事10選

現代人は基本的に疲弊している

疲れていると何が悪いか。端的に言ってつまらない人間になる。 どういうことか。疲れてると難しいコンテンツが咀嚼できなくなる。映像も音楽も漫画もゲームも何もかも、長くじっくり楽しむコンテンツ・頭を使って楽しむコンテンツが、楽しめなくなってしまう。 すると、認知負荷の低いコンテンツばかり楽しむようになる。短かったりわかりやすかったりするモノだ。疲れてるから次はもっと短いものを、次はもっと楽なものを……そういう連鎖が始まってしまう。 そのループの終着点として、「同じ作品を永遠繰り返して視聴する」「サジェストされたもので満足する」などの受動的なコンテンツ消費を行うようになる。そのようにして人間はつまらなくなっていき、お前は死ぬ。

必要なのは「休もう」と思えるコンテンツ

負の連鎖から抜け出すための方法はたったひとつ。休むことである。休んだほうが良いに決まっている。疲れているのになんとなくでYouTubeTwitterをダラダラ見て夜更かしすることに意味はない。 「甘ったれんな」「そんなしょうもない欲求はグッと堪えろ」と思うかもしれないが、疲れてるんだ。ヘロヘロの人間にそんな強い意志を求めるべきじゃないし、ヘロヘロの自分を過信するべきじゃない。 だからコンテンツは見る。惰性だと言われようが見る。見た上で、「休もう」と自主的に思えるようなコンテンツがあればいいのだ。 そういう、タイトルだけでもちょっとだけMPが回復するような記事を10本集めた。タイトルだけ見て、ほんのちょっとだけ元気になって、原題の負の連鎖から抜け出しましょう。

・アフリカジャコウネコのミルクの飲み方が下手過ぎると話題に|エピネシス

https://epinesis.net/archives/post-4623.html

・動物園で飼われていたウォンバット、お客さんのナデナデが足らず「うつ病」と診断される

https://dailynewsagency.com/2011/04/17/need-cuddle/

・ヤギがパトカーを占拠、保安官代理の制止を振り切って書類を食べ続ける

https://www.huffingtonpost.jp/entry/goat-takes-over-cop-car-eat-paperwork_jp_5f585c22c5b67602f5fde2a4?ncid=other_twitter_cooo9wqtham&utm_campaign=share_twitter

・巨大なヤシガニ、バーベキューの匂いに誘われて大量に現れる

https://news.nicovideo.jp/watch/nw8183762

・スーパーで焼き芋を買い占める阿部寛 店から警戒され隠される

https://news.livedoor.com/article/detail/15438109/

・キャベツを食べるウニ みかんも食べます

https://www.news24.jp/articles/2019/11/19/07546940.html

・アザラシの赤ちゃん 食べて寝て成長中

https://mainichi.jp/articles/20190330/k00/00m/040/180000c

・ふわふわのアイガモ赤ちゃん 田んぼの中で元気いっぱい

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/242066

・寝て、ご飯食べて、リラックス…100匹超の猫が集まる公園

https://www.afpbb.com/articles/-/3236910

いいから『味ぽんストロング』を飲め。

味ぽんストロングを飲め

知らずに済むなら知らない方がいい世界は確かに存在する―――しかしそれでも、おまえは何かの因果でこの記事に辿り着いた。ならば知る権利と素質がある、味ぽんストロングという世界を。

第一条:味ぽんストロングについて口にしてはならない。
第二条:味ぽんストロングについて口にしてはならない。
第三条:飲むときは一人。
第四条:一度に一杯。
第五条:シャツと靴は脱いで飲む。
第六条:時間制限は無し。
第七条:この記事で味ぽんストロングを知ったものは、必ず味ぽんストロングを飲まなければならない。

味ぽんストロングは、この現代社会を生き抜く戦士のための応急処置だ。働く社会人のための鎮痛薬である。

ライフハックなんて呼べるような決してお上品なものじゃない、ましてやナイトルーティンやヨガみたいな煌びやかで反吐が出るほど豊かなものなんかではありえない。泥臭く不健康で、あまりに生々しい。そもそも、やらなくて済むならやらない方がいい、使う機会を避けて過ごすべきだ。

 

しかし、実際に社会という戦場で傷を負ってしまったとき、そのときおまえを救うのはアロマやヨガ、美少女たちが戯れるKAWAIIアニメではない。大きな不条理を前に自尊心を砕かれたおまえに必要なのは――—痛みを忘れるほどの闘争心だ。そしてそれを高ぶらせるための儀式だ。

アゲハが初めて密を吸うときに得るもの。炭酸抜けたコーラを捨てるときに得るもの。寝れない4時30分に確信するもの———それが味ぽんストロングだ。

 

 

先に参考文献を紹介しておく。『味ぽんストロング』は、以下の二つの記事から着想を得た。

先人によってすでに「ポン酢(※味ぽんではない)×ストロングゼロ」と「味ぽん×お湯」が美味いことは示されている。俺も実際試し、どちらも美味かった。ならば、当然「味ぽん×ストロングゼロ」だって当然美味いはずである―――味ぽんストロングはそういう非常に高度で繊細な論理的思考力でもって生まれた。

 

言うまでもない注意書きだが、当然アルコールだ。未成年は飲むな。成人であっても、酒に弱いなら飲むな。

じゃあ誰が飲むべきか。酒クズである。しかし単なる酒クズだけではなく、真の酒クズ―――節度を持って酔うことのできる、真の酒クズだけ試してみてほしい。

 

 

味ぽんストロングを飲め

さっそく作り方を伝えるが、味ぽんストロングは洗練された美しいカクテルだ。作り方も非常に単純である。崇高なものは、それに比例してシンプル。勘のいい奴なら次の画像を一枚で全てがわかるだろう。

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こうである。わかったか?

仮にわからなくても構わないが、その鈍さは戦場では命取りになる。努力で改善することを勧めるが―――しかし叱責はしない。叱責なんて犬の餌にもならないクソみたいなことをするぐらいなら、味ぽんストロングを飲んだ方がずっと話が早い。一回でわかる奴は賢いかもしれないが、わからないことを一回で諦める奴が賢くないことは確かだ。

俺だってたいして賢くは無い、それでも一回で教えることを辞めるほど馬鹿じゃないつもりだ。スローで再生しよう。まずはグラスと味ぽん、そしてストロングゼロを用意する。

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こうだ。まずはストロングゼロをグラスに注ごう。普通に飲む量ぐらいをそそげば結構だ。

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こうなる。

ドライなチューハイの無味無臭は可能性の象徴。こいつがどんなチューハイになるかは、俺たちの心ひとつというわけだ。もちろんこのまま飲んでも美味いし、甘いレモンシロップでも入れれば誰にでも愛されるレモンサワーになる。

しかしそうはならない、そうはならなかったんだよ。そこに加えられたのは味ぽんだった。

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こうなる。どのぐらい味ぽんを入れればいいかについては後述するが、特に気にしなくていい。なぜ気にしなくていいか。

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どうせすぐに何も考えられなくなるからだ。

 

 

味ぽんストロングを飲め

上記で十分に手順は伝わったと思うが、改めてまとめるとこうだ。

①グラスと味ぽんストロングゼロドライを用意する
ストロングゼロをグラスに普通にそそぐ
”ビールの色”から”麦茶の色”ぐらいを目指し、味ぽんをグラスに注ぐ
④出来上がり

なんてことはない。ドライチューハイに味ぽんを適量加えるだけ―――ただそれだけである。

語呂が良いので「味ぽんストロング」と呼んでいるが、酒は別にストロングゼロじゃなくてもいい。タカラ缶チューハイでもいいし99.99でもいい。炭酸水で焼酎やウォッカを割ったものでもいい。ドライチューハイであればなんでも良い。

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ただし、味ぽんの方は奇を衒わずに味ぽんを使ったほうが良い。応用は基礎を固めてからでも遅くない。ここは色々なポン酢を試してきた俺を信じろ。

 

 

味ぽんストロングを飲め

さて、味ぽんをどれぐらい入れればいいかという話だ。先ほどのレシピを見たとき、おまえはこう思っただろう

「”ビールの色”から”麦茶の色”ってなんだ」
「レシピと言うにはあまりに曖昧だ」
「酒クズにも程がある」

と。参考までに俺の味ぽんストロングを再掲する。

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おまえはどう思う? 濃いと思うか薄いと思うか。そもそも多い、グラスが大きいだろとか。氷があった方がいいんじゃないかとか……色々あるかもしれないが、しかし全部まったく関係無い。

おまえが濃いと思っても俺は薄める気は無い、おまえが多いと思っても俺はこのグラスで飲むし、おまえが氷を入れたがっても俺は氷を入れない。全部無視する。

これが、「俺にとって」、完璧に美味いからだ。

 

レシピは確かに指針にはなる―――しかし、あくまでそれだけだ。方角を示すコンパスなだけで、地図ではない。大事なのはおまえにとって美味いことで、飲んだおまえ自身が幸せになることだ。

考えてみてほしいが、誰にとっても美味く正しくわかりやすいレシピなんてものは存在しない。万人にとって正解の味ぽんストロングなんてのは都合のいい幻想だ。大さじ1とか15mlとかなんとか言おうが、そんなものは基準に過ぎない。それは「お前にとっての味ぽんストロング」じゃない。細かい分量で美味しさを規定してくるようなレシピを疑え。数値目標なんてくだらないものは捨てろ。

具体的にはどうするか。濃いと思ったらストゼロを足せ。飲め。吟味しろ。薄いと思ったら味ぽんを足せ。飲め。吟味しろ。それだけだ。飲め。吟味しろ。飲め。吟味しろ。飲め。それを繰り返せば―――いつか必ずおまえにとってジャストの味ぽんストロングがやってくる。その味ぽんストロングは紛れもなくおまえが自分の力で見つけ出した最上の味ぽんストロングだ。その色を目に焼き付けろ。その色こそが最もわかりやすく最も正確な「おまえだけのレシピ」になる。俺の場合はそれがビールか麦茶ぐらいだったというだけだ。

 

ここまで読んで、おまえはこう思う。

「その試行錯誤をレシピでスキップしてくれないと意味が無いだろ」
「いい塩梅のを見つけるまでにたくさん失敗するじゃないか」
「この酒クズが」

―——それは至極まっとうな疑問だ。しかし俺はその猜疑には肩透かしな、あるいは理不尽な答を返すことになる。

そう、その通りだ。俺は「レシピぐらいでお前自身のための試行錯誤をスキップできると思うな」と言っている。「成功するまで大量の失敗をしろ」と言っている。そして「酒クズですこんにちは」と言っている。

断言するが、そうやってなんでもかんでもレシピを頼っている以上、量産型の幸せは手に入っても、おまえ自身の真の幸せは訪れない。

「これは美味い!」と書かれたレシピを言われた通りに再現して、「たしかに!」「いや別に」と判断するだけの行為に一体何の楽しみがあるんだ。これは消費社会に支配された姿勢そのものであり、エサを待つ雛鳥と同じ態度だ。

そうやってレシピに沿った料理だけしていれば、そうやってYouTubeのサジェスト欄の動画だけ眺めていれば、そうやってGoogleの検索結果を上から順番に眺めていれば―――そうやってデザインされたコンテンツばかり摂取していれば―――いつまでもお前の人生はお前のものにならない。

 

わかるか。俺はただ単に味ぽんストロングを布教したいわけじゃない。味ぽんストロングを通して己の欲望に向き合うことを思い出せと言っているんだ。もっと自らの手で、泥臭くて血生臭くて面倒臭い、大量のいろいろなことをやらなければならない。そういうことを噛みしめながら味ぽんストロングを飲め。

味ぽんストロングを楽しみ、おまえだけの最高のレシピを見つけたとき、おまえはきっと少し泥臭い試行錯誤を楽しめるようになっている。その状態だ。その状態がスタートだ。

おまえはもう少し高等な試行錯誤だってできる。味ぽんを足したり引いたりしたみたいに、ちょっとずつ失敗を繰り返しながらもきっとできるようになる。味ぽんストロングよりは難しくてきっとすぐにはできないだろうが、いつか必ず同じようにおまえにとっての最高を見つけることができる。いつだって最高のもので自分を奮い立たせることができる。

 

そんなおまえは最高だ。きっと明日はなんとかなる。味ぽんストロングを飲め。

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日々に疲れ果てたおまえが、いつかこんなものに頼らず過ごせる未来が来ること祈ろう。

骨のあるヤツになりたい。色々つらいことはあるけど。

今日の僕はイライラしていた。ここ数週間恋人と大喧嘩の最中だし、昨日は日曜なのに休日出勤。何もしなくても今日は月曜日で最悪なのに仕事も一段と駄目。作業者は修正指示を無視し、依頼者は要件を無視し、上司はそんな状況を無視した。良いのは社長の機嫌だけだ。

 いっぱいいっぱいだった。コップになみなみ注がれた苛立ちが表面張力でプルプルしていた。唯一、終業間際に同僚からの放たれた残業パスを華麗にスルーできたのはファインプレーだったといえる。あやうくロスタイムだ。許せ同僚、僕はもう今日は無理なんだ。もう帰ろう、急いで帰ってさっさと寝よう。たまにはこんな日もあるさ……そう思っていた帰りの電車で、事は起きた。

 

電車が動かない。人身事故だそうだ。

 

さすがにここまで不運が続くと、なんだか仕方がないような気がした。それまでのイライラがダラダラと零れて、一気に力が抜けてしまった。

 ツイてないとは思いつつ、着かないわけでは無かろう、とじっと壁にもたれかけていたが、これは判断ミスだった。田舎生まれの僕は、満員電車の恐ろしさを知らなかったのだ。

 いやはや、都会で電車が止まるって、すごい事件なんですね。いやもう押すわ混むわ五月蝿いわで凄いのなんの。普段あんなにはんなり静かな京阪本線があんなになるとは思ってなかった。どこがおけいはんだよって。

 東京人は毎日あのレベルの満員電車だと思うと本当にすごい。修行だと思う。前世で悪い行いをしたんだと思う。都民ファーストの力でなんとかすればええやんと思います。

 

閑話休題。あまりに唐突な帰宅ラッシュに「オイオイオイ、死ぬわ俺」と思ったんですが、不謹慎覚悟で言えば誰かがこの線路で死んだからこうなったのだ。こんにゃろう、電車に身投げして死ぬと家族にとんでもない額の賠償金が降りかかるらしいから、次自殺するときは電車以外がいいぞ。たまらず僕は途中下車してピークを過ぎるのを待つことにした。戦略的撤退。

 初めて降りる駅だ。特急が止まるのだから小さい街ではなく、さすれば近くにご飯屋さんはあるはず。とりあえず適当にお店を見繕って食べながら時間を潰すか、俺は腹が減っているんだと、気分は孤独のグルメだったけれど、すぐにケンタッキーの夏野菜サラダプレートの広告に目を奪われKFCに吸い込まれてしまった。食べたくなるなる、ケンタッキー。しかしこの安易な行動も災いとなったのだったのだ。

 

「この、夏野菜サラダプレートを単品で」と指をさした瞬間、敗北と失敗を悟った。「この、夏野菜サr」あたりで、店員さんがバツの悪そうな顔をしたのだ。間違い無い、売り切れだ。あんなに美味しそうな広告を打ったのだから、予測できてもよかった。店員さんに申し訳ない振る舞いをさせてしまって申し訳ない。

 分かっている、注文された夏野菜サラダプレートが売り切れなら、横のコンビプレートがレコメンドされる手はずなのはわかっているんだ。僕だってその選択肢に乗るつもりだ。野菜と肉を食べたくて夏野菜サラダプレートを注文したのだ、無ければ下位互換のコンビプレートになる。当然だろう?

 店員さんがゆっくり口を開く。

「お客様申し訳ございません、」待て、みなまで言うな。もう売り切れは察しているんだ。あと1秒待ってくれればコンビプレートに注文をシフトする、頼むから待ってくれ。

「夏野菜サラダプレートは本日売り切れてしまいまして、」もう店員さんは止まらない。ジーザス神様。どうか時を止めてくれ。過去の馬鹿だった僕を叱ってくれ。

「似たメニューですとこちらのコンビプレートなどいかがでしょうか」神よ。こんな悲劇があっていいのか。世界に救いは、愛は無いのか。「あ、じゃあそれでお願いします」と決まりきった台詞を言う。予定調和に従ってクライマックスへと真っ直ぐ突き進む。そう、まるで夏野菜サラダプレートなんて無かったかのように。

 

そこからの注文はスムーズだった。セットにするとよりお得なこと、ドレッシングの種類、チキンの骨の有無、お冷の要不要を確認された。単品、野菜ドレッシング、骨無し、お冷もらえますか。滞りなく注文は進んだ。会計をする頃には、2人の間に流れていたほんの少しのギクシャクした雰囲気は解れていたと思う。

 「こちらでお待ちください」そういう店員さんは吹っ切れた様子だった。僕はそれに「はい」とだけ答えた。もう二人に言葉は要らない。お互いのことを信じていたからだ。真っ直ぐと前を向いた、澄んだいい眼をしている。彼ならきっと、最高のコンビプレートを提供してくれるだろう。

 

「お待たせしました、コンビプレートのお客様!」新鮮な緑が香ばしいチキンを覆い、瑞々しく熟した赤いトマトが端っこにちょこんと居る。ドレッシングはオレンジで、コーンスープは黄色。実に彩りが鮮やかで素敵。フォトジェニックとはこのことだ。フォトジェニックという単語、コンビプレートが語源なのかもしれない。とにかく、美味しそうだ。

 やはり彼を信じて間違い無かった。ありがとうございます、フォトジェニックを受け取って席につく。横目で店員さんを見ると、もう次のお客さんにコンビプレートを勧めている。その対応と眼差しはプロフェッショナルそのもの。プロフェッショナルという単語、彼が語源なのかもしれない。とにかく、好感が持てた。

 

「今日一日散々だったけど、なんか良かったかもなぁ」

 

ぼんやりとそう思いながら、チキンを食べる。お行儀は良くないかもしれないが、骨を掴んでムシャリといく。フォークは付いてたが、これはサラダ用だ。だからこう、骨を掴んでムシャリといく。やっぱり、ムシャリといったほうがなんか美味しく感じるよね。こう、骨を掴んでね……。

 

 

 

アイエエエ!!?

骨!!!?

骨抜きチキン言ったじゃんか骨ナンデ!!!??!(美味しく食べました)

 

 

 

そんなわけで骨のある奴になりたいですね。

骨のある奴ならそもそも恋人と喧嘩はしない。日曜に出社するようなヘマもしない。進捗管理も要件定義も交渉もすんなりいく。もちろん社長もニコニコだ。満員電車に辟易して途中下車するなんて真似はしないし、ケンタッキーを食べる時はいつも骨付きだ。

彼の骨付きチキン(胸肉だった)には、そういう骨のある奴になれっていう励ましの意味もあったのかもしれない。余計なお世話かもしれないが、プロフェッショナルっていうのはいつもちょっとだけ世話焼きだ(今考えた)。

 

骨付きチキンを食べた後、この文章を書いて時間を潰してたら、丁度混雑ピークの過ぎる良い時間になった。それに、少しだけ前向きな気分になった。さぁて、帰ろう。急いで帰って早く寝よう。

 

電車に乗ったタイミングで車内放送が鳴った。「ただいま、二件目の人身事故のため、運転を見合わせております。お客様に……」

 

 

 

まぁ、こんな日もある。